裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
平成5(の)1
- 事件名
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律違反被告事件
- 裁判年月日
平成5年12月14日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第三特別部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第46巻3号322頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二条六項にいう「一定の取引分野」の決定方法
二 入札談合において発注者からいわゆる仕事業者に至る一連の取引が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二条六項にいう「一定の取引分野」に当たるとされた事例
三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二条六項、三条にいう「事業者」の範囲
四 指名業者でない者が入札談合における私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二条六項、三条にいう「事業者」に当たるとされた事例
- 裁判要旨
一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二条六項にいう「一定の取引分野」は、「取引段階」等の概念によって固定的に理解するのではなく、取引の対象・地域・態様等に応じて、違反者のした共同行為が対象としている取引及び右共同行為により影響を受ける範囲を検討し、競争が実質的に制限される範囲を画定して決定すべきである。
二 印刷物の指名競争入札において、指名業者三社と他の指名業者一社に代わって談合に参加していた非指名業者とが、談合により、落札業者及び落札価格を定めるとともに、右非指名業者をいわゆる仕事業者とし、その受注価格をも定めていた本件事実関係の下(判文参照)においては、発注者から仕事業者に至る一連の取引が、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二条六項にいう「一定の取引分野」に当たる。
三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二条六項、三条にいう「事業者」は、他の事業者と共同し一定の取引分野における競争を実質的に制限しうる立場にある者であること以上に、共同行為をする他の事業者と同質的競争関係にあることとか、取引段階を同じくすることは必要でない。
四 指名業者との入札談合に参加していた者が指名業者に選定されていなかったとしても、自社の専属工場のような関係にある指名業者に代わって談合に参加していたもので、他の指名業者もこれを認めており、その者の同意なしには談合が成立しないなどの本件事実関係の下(判文参照)においては、指名業者に選定されていなかった者も、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律二条六項、三条にいう「事業者」に当たる。
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