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高等裁判所 判例集

事件番号

 平成4(う)577

事件名

 銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件

裁判年月日

 平成5年6月4日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第九刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第46巻2号155頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一 日本料理の儀式用包丁として製作された刃物が銃砲刀剣類所持等取締法三条一項により所持の禁止される刀に当たるとされた事例
二 日本料理の儀式用包丁として刀を製作して所持した行為につき違法性の意識の欠如に相当の理由があるとはいえないとされた事例

裁判要旨

 一 日本料理の儀式(いわゆる包丁式)用の包丁として製作され、なかご(刀身のつかに入った部分)の幅が通常の刀より狭いなどの特徴を有する刃物であっても、鋼鉄製で、全体として社会通念上刀(脇差)というにふさわしい形態を備え、人を殺傷するのに十分な性能を有すると認められるものであるときは(判文参照)、銃砲刀剣類所持等取締法三条一項により所持の禁止される刀に当たる。
二 刃物の製作・販売業者が、日本料理の儀式(いわゆる包丁式)用として包丁の注文を受けこれを製作・所持した場合において、注文を受ける際、著名な刃物業者の銘のある儀式用包丁及びこれと同様の包丁を使用した包丁式の写真が掲載された料理人組合発行のパンフレットを示されたことなどから、包丁式用の儀式包丁として前記刃物を所持することが社会的に公認され違法ではないと考えたとしても、包丁式が社会的に広く知られた儀式ではなく、右刃物が、社会通念上刀と見られる形態を備える鋼鉄製のもので人で殺傷するのに十分な性能を有することが明らかであるなどの事情があるのに、関係官庁の助言・指導を求めるなどの行為に出なかった本件事実関係の下(判文参照)においては、右刃物の所持が違法でないと考えるにつき相当の理由があるとはいえない。

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