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高等裁判所 判例集

事件番号

 平成4(う)1065

事件名

 殺人被告事件

裁判年月日

 平成5年1月26日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第一〇刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第46巻1号1頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 殺人につき防衛行為の相当性が肯認された事例

裁判要旨

 他人の居室に不法侵入するなどした上包丁で攻撃してきた相手方が、被告人から包丁を取り上げられ逆にこれを突き出されても怯むことなく、包丁を取り返そうと被告人の首に右腕を回し左手で被告人の右上腕部付近をつかんで首若しくは頭を強く下方に押さえ付けてきたのに対し、被告人が前かがみの状態で包丁を振り回すなどして相手方の背や肩等に一〇か所位の刺切創等を負わせて死亡させた本件行為は、それが未必的殺意の下にされたとしても、相手方は粗暴癖があるとして周囲から恐れられていた男であり、被告人としては包丁を取り返されたら殺されるのではないかと思い、ただやみくもに包丁を振り回すなどしたもので、特に身体の枢要部を狙ったものではなく、しかも、相手方の攻撃の気配が止むやこれを中止しているなどの本件事実関係の下においては(判文参照)、いまだ防衛行為としての相当性の限度を超えたものとはいえない。

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