裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和62(う)1154
- 事件名
業務上過失致死傷被告事件
- 裁判年月日
平成2年8月15日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第五刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第43巻3号101頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 法人が消防法の防火対象物を管理する場合と同法八条一項にいう「管理について権原を有する者」
二 高層ホテルの火災による死傷事故につきこれを経営する会社の代表取締役に業務上過失致死傷罪が成立するとされた事例
- 裁判要旨
一 法人が消防法上の防火対象物を管理する場合、同法八条一項にいう「管理について権原を有する者」は、特段の事情がない限リ、当該法人の代表者である。
二 高層ホテルの九階客室内で火災が発生し、火煙の急速な伝播、拡大を防止するに足リる消防用設備が設置されていなかったため火煙が急速に同階及び隣接階の客室部に延焼拡大し、かつ、従業員による適切な通報、避難誘導等がなかったこととあいまって、多数の宿泊客が死亡・負傷した火災事故において、ホテルの経営、管理上の実質的な権限を一手に掌握していた本件代表取締役には、消防法令上の関係者及び管理権原者として、スプリンクラー又はこれに代わる防火区画等の消防用設備を設置し、かつ、防火管理者を指揮してその点検、維持を行わせ、消防計画を作成して避難訓練等を行わせるべき注意義務を怠った過失があリ、業務上過失致死傷罪が成立する。
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