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高等裁判所 判例集

事件番号

 平成1(う)1297

事件名

 児童福祉法違反被告事件

裁判年月日

 平成2年3月28日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第五刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第43巻1号17頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一 児童福祉法三四条一項九号にいう児童を「自己の支配下に置く行為」の意義
二 児童福祉法六〇条三項にいう「児童を使用する者」の意義
三 児童福祉法三四条一項九号にいう児童を「自己の支配下に置く行為」及び同法六〇条三項にいう「児童を使用する者」に当たるとされた事例

裁判要旨

 一 児童福祉法三四条一項九号にいう児童を「自己の支配下に置く行為」とは、児童を、使用、従属の関係において、その意思を左右し得る状態に置くことをいう。
二 児童福祉法六〇条三項にいう「児童を使用する者」とは、児童と継統的雇用関係にある者のみに限定されないが、少なくとも児童と雇用関係類似の密接な社会的関係において児童の行為を利用し得る地位にある者をいう。
三 ビデオ録画の製作、販売等を目的とする公社の代表取締役が、同社が製作する猥せつビデオ録画に、自ら書類審査をし、かつ、同社の従業員に面接させるなどして採用することにした児童を、同人の所属するプロダクションとの間の契約に基づいて出演させることにしたうえ、自らが委嘱した監督に対し、企画・脚本検封の段階において具体的に指示を与えるなどし、同監督の下で、右会社の作った予定表に従い、同児童に二日間にわたり猥せつな演技をさせて録画した場合、右代表取締役は、児童福祉法三四条一項九号にいう児童を「自己の支配下に置く行為」をしたもので、同法六〇条三項にいう「児童を使用する者」に当たる。

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