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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和62(ネ)3435

事件名

 慰藉料請求事件

裁判年月日

 平成元年9月5日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第八民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第42巻3号325頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一 犯行当時新聞等で報道された犯罪に係る前科を実名を用いて改めて公表することがプライバシーの侵害として違法とされる場合
二 実名による前科の公表につき違法性が阻却されないとされた事例

裁判要旨

 一 犯行当時新聞等で報道された犯罪に係る前科であっても、犯行後相当の年月が経過し、犯人に対する刑の執行も終ったのちに実名を用いて改めてこれを公表することは、特段の事由がない限り、プライバシーの侵害として許されない。
二 刑事事件について有罪判決を受けた者の無実ないしその罪責が実質的に軽小であることを明らかにする目的でその実名を著作により公表する場合であっても、事件発生後長年月が経過したこと等により当該犯罪に対する社会の関心が低下しており、右実名の公表がその者の名誉や私生活の平穏に不利益を及ぼすときは、実名による前科の公表の違法性は阻却されない。

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