裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和62(う)1149
- 事件名
傷害致死、死体遺棄被告事件
- 裁判年月日
昭和63年7月13日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第一一刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第41巻2号259頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 共犯関係からの離脱ないし共犯関係の解消の要件
二 共犯関係からの離脱ないし共犯関係の解消が認められないとされた事例
- 裁判要旨
一 二人以上の者が共謀の上共同して犯罪の実行を開始した場合、共犯関係からの離脱ないし共犯関係の解消が認められるためには、離脱しようとする者が自ら犯行を止めるのみでなく、他の共犯者らに対し、自分にはもはや共謀に基づいて犯行を継続する意思がなくなつたことを知らせるとともに、他の共犯者らの犯行も止めさせた上、その後は自分を含め共犯者の誰もが当初の共謀に基づく犯行を継続することのない状態を作出することを要する。
二 乙は、甲と共謀の上共同して被害者に対し暴行を加え、一段落した際現場を立ち去つたが、その後に甲が引き続いて暴行を加え、結局、被害者が死亡するに至つた場合、その死の結果が直接的には乙の立ち去つた後の甲の暴行によつて生じたものとしても、乙が現場を立ち去つただけで、甲に対しこれ以上被害者に暴行を加えないことを求めて、現に加えている暴行を止めさせた上、以後は甲が当初の共謀に基づく暴行を継続することのない状態を作出しているというような事情が認められない本件事実関係(判文参照)の下においては、共犯関係からの離脱ないし共犯関係の解消は認められず、乙は、共同正犯として傷害致死の責任を負うべきものである。
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