裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和62(う)143
- 事件名
殺人被告事件
- 裁判年月日
昭和62年5月26日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第八刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第40巻1号52頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
シンナーの長期乱用により生じた「別人が両親になりすましている」という妄想(いわゆるカプグラ症候群)に支配されてした両親殺害の犯行につき、心身耗弱が認められた事例
- 裁判要旨
シンナーの長期乱用により生じた「別人が両親になりすましている」という妄想(いわゆるカプグラ症候群)に支配されて両親殺害の犯行に及んだ場合においても、右妄想がいまだ人格の中核にまで浸透してこれを完全に支配していたものではなく、一面ではなお正常な意識が残つており、右妄想から派生的に生じた「両親になりすました別人に攻撃される」という被害妄想が確信の程度にまでに至つていなかつたことなど判示の事情があるときは、犯行時の精神状態は心神喪失ではなく、心神耗弱にすぎないと認めるのが相当である。
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