裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和59(う)540
- 事件名
水道法違反被告事件
- 裁判年月日
昭和60年8月30日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第七刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第38巻2号136頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 水道事業者である市の市長が行政指導のためとしてマンシヨン建設業者からの給水契約申込書を受理しなかつた行為が水道法一五条一項にいう給水契約の申込の拒否に当たるとされた事例
二 水道法一五条一項にいう「正当の理由」の意義
- 裁判要旨
一 水道事業者である市の市長が当該市の宅地開発等指導要綱に基づきマンシヨン建設業者からの給水契約申込書を受理しなかつた行為は、当該マンシヨンがほとんど完成してその入居者の多くが確定し、かつ、右業者が右指導要綱に従う意思の全くないことを宣明しているなどの本件の具体的事実関係(判文参照)のもとにおいては、行政指導のために許される処分留保の限界を超え、水道法一五条一項にいう給水契約の申込の拒否に当たる。
二 水道法一五条一項の「正当の理由」とは、基本的には水道事業者に給水義務を課することが同法の固有の目的にそぐわない結果をもたらすような特段の事情が認められる場合に限られ、これ以外の他の行政上の要請に基づくような場合は、給水することが公序良俗に反するときを除き、右の「正当の理由」に当たらない。
- 全文