裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和56(行ケ)213
- 事件名
東京都議会議院選挙無効確認請求事件
- 裁判年月日
昭和58年7月25日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第三民事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第36巻2号91頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 地方公共団体の議会の議員の選挙につき、その基礎となつた定数配分条例の違憲、違法を理由として提起された公職選挙法二〇三条の訴えの適否(積極)
二 公職選挙法一五条七項但書の意義
三 同法二六六条二項の意義
四 「東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例」(昭和四四年東京都条例第五五号)一条ないし三条の定数配分規定が、公職選挙法一五条七項に違反するとされた事例
- 裁判要旨
一 地方公共団体の議会の議員の選挙において、選挙人は、その選挙の基礎となつた定数配分条例の違憲、違法を選挙無効の事由として公職選挙法二〇三条の訴えを提起することができる。
二 公職選挙法一五条七項但書は、地方公共団体の議会の議会の選挙の各選挙区への定数配分について、人口比例の原則を明文化した同項本文を受けて、公正かつ効果的な代表の見地から人口比例からある程度はずれた配分をすることが許されることを明らかにしたものであつて、人口比例の原則から著しくはずれた定数配分を地域間の均衡の名の下に合法化する規定ではない。
三 公職選挙法二六六条二項は、東京都議会議員の選挙における特別区の区域を区域とする選挙区間の定数配分について、他の一般の選挙区間の定数配分の場合以上に人口比例の原則からはずれることを容認した規定ではない。
四 昭和五六年七月五日に施行された東京都議会議員選挙の当時、特別区の区域を区域とする選挙区間における議員一人当りの人口の最大格差が一対五・一五と著しいばかりではなく、配当基数と現実の配分定数に差違がある選挙区が過半数に達していた等判示事情のもとにおいては、「東京都議会議員の定数並びに選挙区及び各選挙区における議員の数に関する条例」(昭和四四年東京都条例第五五号)一条ないし三条の定数配分規定は、全体として投票価値の平等という憲法上の要請に基づく公職選挙法一五条七項の規定に違反するものであつたと解すべきである。