裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和55(う)391
- 事件名
殺人、現住建造物等放火、公務執行妨害、傷害、兇器準備集合、同結集被告事件
- 裁判年月日
昭和58年7月13日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第一一刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第36巻2号86頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 捜査機関においてテレビニユースの映像を録画したビデオテープに証拠能力が認められた事例
二 兇器を準備して集合した武装集団の間に機動隊員殺害の事前共謀があつたとは認められないとされた事例―いわゆる渋谷暴動事件控訴審判決―
- 裁判要旨
一 捜査機関においてテレビ映像を録画した本件ビデオテープは、その撮影対象及び収録再生の過程からみて非供述証拠と認められるテレビニユースの映像を写したものであり、写し一般が証拠として許容されるための要件を充たしており、その取調べによつて報道機関ないし放送事業者の憲法上及び著作権法上の自由ないし権利を侵害するものとは認められない本件事実関係(判文参照)のもとにおいては、証拠能力を有する適法な証拠である。
二 火炎びん、鉄パイプ等の兇器を準備して集合し、機動隊員殺害を呼号するアジ演説の下に行動を開始した武装集団の一部に機動隊員殺害の行為にでた者があつたとしても、集団の携行した武器の性能、採用した戦術、集団に属する者の意識・行動、機動隊員を殺害し得る客観的可能性のある局面現出への予見の有無等についての本件の具体的事実関係(判文参照)のもとにおいては、いまだ右行動開始の時点において集団に属する者全員の間に殺人の事前共謀が成立したものとは認められない。