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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和50(ネ)2899

事件名

 土地建物所有権移転登記等請求事件

裁判年月日

 昭和54年7月3日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第八民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第32巻2号126頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一 権利能力なき社団の属人法
二 相続に関する訴訟についての国際管轄権
三 二重反致の成立を認容した事例
四 先決問題の準拠法
五 身分関係の立証に身分証書以外の立証方法を許すか否かの問題の準拠法
六 相続準拠法がロシヤ法である場合の本邦所在の土地の相続とロシヤ民法九五条二項
七 相続準拠法がロシヤ法である場合に本邦の家庭裁判所により選任された相続財産管理人の権限

裁判要旨

 一 権利能力なき社団の属人法は、その活動の本拠と構成員の国籍とによつて定まる。
二 相続権に関する訴訟については、被相続人が最後に常居所を有した国の裁判所に原則的管轄権があるが、本邦に所在する相続財産に関する事件については、本邦の裁判所にも例外的管轄権がある。
三 日本法とソピエト法との間には、二重反致が成立する。
四 先決問題の準拠法は、本問題の準拠法の所属国の国際私法により、その内容が不明である場合には、その国の国際私法の基本原理と条理とを考慮して準拠法を決定する。
五 身分関係の立証に身分証書以外の立証方法を許すか否かの問題は、当該の法律関係の準拠法による。
六 ロシヤ民法九五条二項は、ロシヤ共和国所在の土地が相続されえないことを定めたものであつて、ロシヤ共和国市民の相続能力に関する規定ではない。
七 相続準拠法がロシヤ法である場合には、本邦の家庭裁判所により選任された相続財産管理人の権限はロシヤ民法によつて定まる。

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