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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和51(う)1126

事件名

 わいせつ文書販売被告事件

裁判年月日

 昭和54年3月20日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第六刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第32巻1号71頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一 刑法一七五条と憲法二一条一項、三一条
二 文字による記述のみからなる文書のわいせつ性判断の基準
三 刑法一七五条にいう「猥褻ノ文書」にあたるとされた事例

裁判要旨

 一 刑法一七五条は憲法二一条一項、三一条に反しない。
二 文字による記述のみからなる文書が刑法一七五条にいうわいせつのものとされるためには、性器又は性的行為の露骨かつ詳細な具体的描写叙述があり、その描写叙述が情緒、感覚あるいは官能にうつたえる手法でなされているという二つの外的事実の存在することのほか、文書自体の客観的内容を全体としてみたときに、その支配的効果が好色的興味にうつたえるものと評価され、かつ、その時代の社会通念上普通人の性欲を著しく刺戟興奮させ性的羞恥心を害するいやらしいものと評価されるものであることを要する。
三 本件文書「四畳半襖の下張」は、刑法一七五条にいう「猥褻ノ文書」にあたる。

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