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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和52(ネ)1829

事件名

 謝罪広告等請求事件

裁判年月日

 昭和54年3月14日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第一五民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第32巻1号33頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一 死者に対する遺族の敬愛追慕の情を侵害する行為と不法行為の成否
二 死者に対する遺族の敬愛追慕の情の侵害を理由とする慰籍料の請求が認められなかつた事例

裁判要旨

 一 死者に対する遺族の敬愛追慕の情は、一種の人格的法益として法の保護の対象となり、これを違法に侵害する行為は、不法行為を構成する。
二 死者の名誉を害するような事実について記述された部分のある著作物の出版により、同人を実父のように敬愛追慕していたその甥が精神的苦痛を被つたとしても、右出版が死後四四年余を経た時点でなされたときは、記述された事実が虚偽であり、かつその事実が重大で、時間的経過にもかかわらず、同人に対する敬愛追慕の情を受忍し難い程度に害されたものでないかぎり、右出版行為に違法性はなく、慰籍料の請求は認められない。

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