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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和50(う)1791

事件名

 職業安定法違反及び労働基準法違反被告事件

裁判年月日

 昭和51年3月1日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第三刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第29巻2号205頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 職業安定法四四条の労働者供給事業の禁止規定に違反する行為をしたと認められた事例
二、 労働基準法六条にいう「他人の就業に介入して利益を得」る行為をしたと認められた事例

裁判要旨

 一、 労働者を雇傭する会社の代表者が、他の会社との間に自社の労働者を供給する契約を締結し、労働者をその被供給会社に派遣して、同会社の担当者を介しその会社に使用させた場合には、右労働者の供給が会社の事業として行われたものであつても、右代表者の行為はすべて会社自体の行為に転化するものではなく、会社代表者個人の行為としても存在するものであり、右会社代表者は個人として労働者供給事業の禁止規定に違反する行為をした責を免れない。
二、 労働者を雇傭する会社の代表者が、他の会社に労働者を派遣し、同会社の従業員の指揮監督のもとに同会社の作業に従事させて、同会社と右労働者との間に事実上の使用従属関係を生じさせた場合には、たとえ右労働者の派遣が会社のためその名において行われ、かつ、これによる利益が派遣会社に帰属するときでも、右会社代表者の行為は、会社自体の行為に転化するものではなく、会社代表者個人の行為としても存在するものであり、右代表者は個人として他人の就業に介入して利益を得る行為をした責を免れない。

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