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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和48(う)2921

事件名

 公務執行妨害、傷害被告事件

裁判年月日

 昭和51年2月24日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第六刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第29巻1号27頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 官公署においてその執務に支障を生じさせる程度の行状をした者に対して庁舎管理権にもとづきこれを庁舎外に排除する行為の適法性
二、 庁舎管理権にもとづく排除命令の執行に際し外来者の一人が職員に傷害を加えた行為につき公務執行妨害罪が成立しないとされた事例

裁判要旨

 一、 庁舎管理権は、単なる公物管理権にとどまるものではなく、公物管理の側面から、庁舎内における官公署の執務につき、本来の姿を維持する権能を含むものであり、一般公衆が自由に出入しうる庁舎部分において、外来者が喧噪にわたり、官公署の執務に支障が生じた場合には、官公署の庁舎の外に退去するように求める権能、およびこれに応じないときには、官公署の職員に命じて、これを庁舎外に押し出す程度の排除行為をし、官公署の執務の本来の姿を維持する権能をも当然に包含しているものと解すべきである。
二、 喧噪な行動に出た一団と目される外来者の集団に対し、庁舎管理権にもとづく退去命令および排除命令が発せられた場合、右集団の近くにこれに属するか否かを判別し難い外来者がいるとき、これを含む外来者全員に退去を命ずる旨の明確な告知がされていないのに、職員がこの者を対象として排除命令を執行することは、判示のような状況の下では、公務執行妨害罪における適法な職務の執行とはいえず、同罪は成立しない。

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