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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和45(う)3143

事件名

 騒擾助勢、公務執行妨害、騒擾指揮、傷害、暴力行為等処罰に関する法律違反、建造物等以外放火、公文書毀棄被告事件

裁判年月日

 昭和47年11月21日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第六刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第25巻5号479頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 刑法一〇六条の規定と憲法三一条
二、 近接した日時場所において構成員を異にする多数の者がそれぞれした暴行脅迫を包括して一個の騒擾罪を構成するものと評価するための要件
三、 多数の者が集合して暴行脅迫をした場合各個人について騒擾罪の罪責を認めるための要件
四、 昭和二五年東京都公安条例四条にいう「所要の措置」に集団の解散措置を含むか
五、 昭和二五年東京都公安条例四条にいう「所要の措置」として集団を解散させるための要件を備えたものと認められなかつた事例
六、 多衆の者のした暴行脅迫がいまだ一地方の静ひつを害するに足りる程度に達していたものと認められないとして騒擾罪の成立が否定れた事例
七、 刑法一〇六条二号の率先助勢の罪が成立する時期
八、 少年が少年調査官にした供述調書の証拠能力

裁判要旨

 一、 刑法一〇六条の規定は憲法三一条に違反しない。
二、 近接した日時、場所において構成員を異にする多数の者がそれぞれした暴行、脅迫を包括して一個の騒擾罪を構成するものと評価するためには、右多数の者が集団としての同一性を有していることが必要である。
三、 多数の者が集合して暴行、脅迫をしたばあい、各個人について騒擾罪の罪責を認めるためには、その多数の者が一個の集団を構成し、かつ、その者がこの集団の一員として、その集団員のする暴行、脅迫に加担する意思を有することが必要である。
四、 昭和二五年東京都公安条例四条にいう「所要の措置」には集団の解散措置を含む。
五、 判文参照
六、 判文参照
七、 騒擾開始前において刑法一〇六条二号の率先助勢の罪が成立するのは、多衆の者に暴行、脅迫についての共同意思が成立した後に限られるべきである。
八、 家庭裁判所における少年保護手続の段階において黙秘権の告知もされずに少年が少年調査官にした供述調書には証拠能力がない。

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