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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和45(う)2186

事件名

 公務執行妨害被告事件

裁判年月日

 昭和47年10月20日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第三刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第25巻4号461頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 組合員の就労を阻止したピケツテイングが労働組合法一条二項にいわゆる正当性の範囲を逸脱したものとして威力業務妨害罪が成立するとされた事例
二、 現に犯罪が行なわれている場合における警察官の制止行為と警察官職務執行法五条との関係

裁判要旨

 一、 全国逓信労働組合のした二時間勤務時間内食い込み職場大会開催の指令を返上した支部の組合員が郵便局に入局就労しようとしたのに対し、平和的勧誘ないし説得の範囲をこえて判示のような実力をもつてこれを阻止したピケツテイングは、他にこれを相当とする特段の事情の認められない本件においては、労働組合法一条二項にいわゆる正当性の範囲を逸脱するものであつて、威力業務妨害罪を構成する。
二、 警察官は、犯罪が現に実行されている段階においては、警察官職務執行法五条後段の要件を欠いても、これを制止するために必要と認められる限度において、しかも憲法に保障する個人の権利および自由を不当に侵害し権利の濫用にわたらないかぎり、犯人に対し犯罪の実行をやめさせるため強制力を行使することが許される。

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