裁判例検索

裁判例結果詳細

高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和41(行コ)61

事件名

 固定資産税審査決定取消請求控訴事件

裁判年月日

 昭和45年5月20日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第一民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第23巻2号265頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 固定資産評価審査委員会における口頭審理の方式
二、 固定資産評価審査委員会の審理の方式に瑕疵があると認められた事例
三、 固定資産評価審査委員会の審査決定書に理由を付さない違法があるとされた事例

裁判要旨

 一、 固定資産評価審査委員会の審査手続においては、たとえ地方税法四三三条二項により口頭審理の方式をとる場合でも、必ずしも口頭審理を通じてのみ攻撃防禦をさせなければならないものではない。
二、 固定資産評価審査委員会は、固定資産の評価について審査請求の申出があつたときには、申出人に対して、申出人が評価についての不服事由を明らかにするために合理的に必要な範囲で、地方団体のした課税客体評価の根拠、方法、手順等を申出人に了知させる措置をとるべきであり、地方団体提出にかかる答弁書等にこれらを了知できる資料の記載があるに拘らずこれを申出人に送付し、閲覧させる等了知させる措置を全く講ぜず、また口頭審理において地方団体側に十分な説明を求めなかつたのは、手続上重大な瑕疵があつて、審査決定取消の事由となる。
三、 本件固定資産評価審査委員会の審査決定については条例の規定により決定書の作成を要し、且つ右決定書には「相当の理由」、すなわち審査請求申出人が決定のよつて生ずる根拠を具体的に知りうるに必要な範囲で課税客体評価の根拠、方法、計算根拠を具体的に説示した理由を付することを要するものと解すべきところ、本件審査決定書記載の理由のように単に「本件評価は固定資産評価基準によつて適法になされたものである。環境、用途、形状等に応じて評価したものであつて他に比較して評価が不均衡ではない。」等きわめて抽象的な簡単な記述があるにすぎない場合は、決定に実質上理由を付さない違法がある。

全文