裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和45(ラ)197
- 事件名
映画上映禁止仮処分申請却下決定に対する即時抗告事件
- 裁判年月日
昭和45年4月13日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第三民事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第23巻2号172頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 人格的利益の侵害行為に対しその排除ないし予防を求める請求権の存否
二、 小説・演劇・映画等により人格的利益を侵害された者がその排除ないし予防を求めうる場合
三、 人格的利益の侵害を理由とする映画の公開上映の禁止を求める請求権が認められないとされた事例
- 裁判要旨
一、 人格的利益を侵害された者は、加害者に対し、損害賠償ないし名誉回復を求めうるほか、侵害行為の排除ないし予防を求める請求権をも有する。
二、 小説・演劇・映画等により人格的利益を侵害された者が、侵害行為の排除ないし予防を求める請求権を有するかどうかは、個人の尊厳及び幸福追求の権利の保護と表現の自由(特に言論の自由)の保障との関係に鑑み、被害者が侵害行為の排除ないし予防の措置がなされないままで放置されることによつて被る不利益の態様、程度と、加害者が右の措置のためその活動の自由を制約されることによつて受ける不利益のそれとを比較衡量して決すべきである。
三、 公開上映されようとする映画が、被害者の過去における恋愛的葛藤及び傷害事件を中心的素材とするものであつても、右事実及び映画の製作意図、内容について、それぞれ判示のような事情がある場合には、被害者に侵害行為の排除ないし予防を求める請求権を認めることができない。