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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和43(う)2379

事件名

 業務上過失致死被告事件

裁判年月日

 昭和45年1月29日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第一二刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第23巻1号54頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 業務上過失致死被告事件について自動車運転手たる被告人を運転免
許のない助手の惹起した事故の身代り犯人の疑いが強いとして無罪にした事例
二、 右の場合に同乗する自動車運転手が業務上過失致死傷の罪責を負うための条件

裁判要旨

 一、 捜査官に対しては自己の運転の過失により路上で遊んでいた幼児を死に致した旨供述していた被告人が、公判廷では同乗の無免許の助手の惹き起したものをその懇請によリ自己の所為として警察官に申告したものである旨供述し、その助手が所在不明となつているため真相の確定はできないが、その疑いが濃いとした場合(判文参照)には、被告人を有罪とした原判決は事実の誤認がある。
二、 無免許の助手の運転に委せて同乗している運転手が、助手が運転中に惹き起した人身事故につき業務上過失致死傷罪の責任を負うためには、右助手の運転技術の拙劣、飲酒の影響など、その者に運転を継続させることが事故発生につながることが明らかに予想され自ら運転するのが相当とされたとき、または自己が強いて運転させまたは特に指導を依頼されていて、その指導助言等により事故を防止できた等特段の事情がなければならない。

全文