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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和39(う)642

事件名

 公職選挙法違反被告事件

裁判年月日

 昭和40年11月26日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第十一刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第18巻7号786頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 公職選挙法第二〇一条の一三第一項の法意
二、 「選挙に関する報道・評論」と「選挙運動のために使用する文書図画」との関係
三、 公職選挙法第二〇一条の一三にいう「政党その他の政治団体」の意義
四、 公職選挙法第二〇一条の一三第一項の合憲性
五、 法定外選挙運動文書を配布するだけの目的で各戸を訪問する行為と戸別訪問罪の成否
六、 戸別訪問と訪問先における法定外選挙運動文書の頒布とは一個の行為か
七、 罪数につき検察官と裁判官とが見解を異にする場合の一部無罪言渡の要否

裁判要旨

 一、 公職選挙法第二〇一条の一三第一項は、政党その他の政治団体のうちいわゆる確認団体以外のものの発行する新聞紙または雑誌については、選挙期間中、選挙に関する報道・評論を掲載することができず、これを掲載したものを頒布しまたは掲示することができないことを規定したものである。
二、 新聞紙または雑誌に掲載された記事が「選挙に関する報道・評論」に該当するからといつて、その新聞紙または雑誌が「選挙運動のために使用する文書図画」たる性質を有しないとはいえない。
三、 公職選挙法第二〇一条の一三第一項にいう「政党その他の政治団体」とは、政治資金規正法にいう「政党、協会その他の団体」と同意義のものと解すべきである。
四、 公職選挙法第二〇一条の一三第一項が政党その他の政治団体のうちいわゆる確認団体以外のものの発行する新聞紙および雑誌について、選挙期間中、公職選挙法第一四八条第一・二項の適用を排除したことは、少なくともその新聞紙または雑誌が「選挙運動のためにする文書図面」たる性質を有するかぎりは、日本国憲法第二一条第一項に違反するものではない。
五、 法定外選挙運動文書を配布するだけの目的で各戸を訪問する行為は、公職選挙法第一三八条第一項の戸別訪問罪を構成しない。
六、 戸別訪問と訪問先における法定外選挙運動文書の頒布とは、一個の行為でなされたものとはいえない。
七、 検察官が甲乙二罪を観念的競合だと主張していても、裁判所がこれを併合罪だと解する以上、甲罪の成立を認めないときは、その点につき主文で無罪を言い渡すべきものである。

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