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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和39(う)999

事件名

 有価証券偽造等被告事件

裁判年月日

 昭和40年6月18日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第一一刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第18巻4号377頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 支払人に関する商法の規定が準用される漁業協同組合参事が組合長振出名義の約束手形を作成した行為につき有価証券偽造罪の成立を認めた事例
二、 偽造約束手形の割引名義で金員を騙取したのちさらに別の偽造約束手形を差し入れて前の約束手形の支払を延期させた行為と刑法第二四六条第二項の罪の成否

裁判要旨

 一、 支配人に関する商法の規定が準用される漁業協同組合参事であつても、一存で組合長振出名義の融通手形を作成することが許されていなかつたのにかかわらず、組合長または専務理事の決裁・承認を受けずに准組合員のため融通手形として組合長振出名義の約束手形を作成したときは、有価証券偽造罪が成立する。
二、 偽造約束手形を行使して割引名義で金員を騙取した者が、その後別の偽造約束手形を相手方に差し入れて前の約束手形の支払を延期させたときは、その延期について経済上の利益が存するかぎり、前の約束手形の振出が手形法上有効であるかどうかにかかわらず、前の金員騙取罪とは別個に刑法第二四六条第二項の詐欺罪が成立する。

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