裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和38(う)2117
- 事件名
鉄道営業法違反等被告事件
- 裁判年月日
昭和40年6月3日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第八刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第18巻4号328頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 控訴申立の対象となつた原判決の一部につき控訴趣意が主張されていないため判決中で控訴を棄却した事例
二、 検察官が裁判所の命令によらないで予備的に訴因および罰条の追加を請求し裁判所が本位的訴因を排斥して予備的訴因を有罪とした場合検察官は本位的訴因の有罪を主張して控訴することができるか
三、 列車の座席を占有する権利の譲渡と物価統制令第九条ノ二の適用
四、 列車の座席を占有する権利の譲渡価格が不当高価であるとされた事例
- 裁判要旨
一、 主文が二つ以上ある原判決の全部が控訴申立の対象となつている場合、その一部につき控訴趣意が主張されていないときは、控訴裁判所は、原判決中その余の部分についてする判決中で、右控訴趣意が主張されていない部分についての控訴を刑事訴訟法第三八六条第一項によりあわせて棄却することができる。
二、 検察官が、裁判所の命令によらないで、予備的に訴因および罰条の追加を請求した場合においても、裁判所が本位的訴因を排斥し、予備的訴因を認容した判決の理由中事実の認定または法令の解釈、適用に適正を欠くものがあるときは、検察官は、本位的訴因について有罪の認定を求めるため上訴を申し立てる利益があると解するを妨げない。
三、 列車の座席を占有する権利のごときは、乗車券と分離して特に鉄道当局において有料の座席指定券を発行している場合を除いては、本来無価格なものではあるが、現実の取引において、営利の目的を以て、不当に高価な額でこれを譲り渡し、その代金を受領したときは、物価統制令第九条ノ二の規定に抵触する。
四、 昭和三七年九月当時において、二一時三〇分国鉄上野駅発、青森駅行普通急行列車津軽号二等車の座席一人分を占有する権利の譲渡代金額五〇〇円は、同令同条にいう「不当に高価ナル額」であるというに妨げない。
- 全文