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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和33(う)2290

事件名

 入札妨害談合被告事件

裁判年月日

 昭和40年5月28日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第一一刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第18巻4号273頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 刑事訴訟法第三三九条第一項第二号により決定で公訴を棄却すべき場合にあたらないとされた事例
二、 刑法第九六条の三第一項の罪と公の競売または入札が行なわれることの要否
三、 公の入札が行なわれなかつたとされた事例
四、 入札施行者側の公務員が談合の行なわれることを察知していた場合の談合罪の成否

裁判要旨

 一、 起訴状に記載された事実が犯罪を構成するかどうかについて、上告審の判例も明らかでなく、検察官の解釈と弁護人の解釈とが対立しているような場合には、刑事訴訟法第三三九条第一項第二号によつて決定で公訴を棄却すべきではない。
二、 刑法第九六条の三第一項の罪が成立するには、公の競売または入札が行なわれることを必要とする。
三、 権限ある機関によつて入札に付すべき旨の決定がなされており、かつ、入札書が担当の吏員に提出され、最高額の入札書の名義人に対して契約が締結された場合でも、正規の入札の手続を行なうことなく、単に書類上入札が行なわれたことにしておくため一人の者が入札書を一括持参して担当吏員に手渡したにすぎない場合には、公の入札が行なわれたということはできない。
四、 入札施行者の側の公務員が談合の行なわれることを察知していたとしても、刑法第九六条の三第二項の談合罪の成立を妨げるものではない。

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