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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和33(ネ)428

事件名

 不当労働行為救済命令取消請求事件

裁判年月日

 昭和36年1月30日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第五民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第14巻2号113頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 解雇から復職までの給与の遡及支払を命じる救済命令と労働者がその間他に就職して得た収入控除の要否
二、 不当解雇により労務の給付を免かれた労働者が、解雇から復職までの間他に就職して得た収入は、民法第五三六条第二項にいわゆる「債務を免れたるに因りて得たる利益」にあたるか

裁判要旨

 一、 労働委員会が、救済命令において、被解雇者の解雇から復職までの受くべかりし給与相当額の支払を命じる場合において、被解雇着たる労働者が、右解雇により本来の職場で働くことができないので、復職までの間他の職場で働いて賃金を得た事実があるときは、それが副業的なものと認められる等特別の事情のある場合を除いては、労働委員会は、その額を控除した残額の給与の支払を命ずべく、これを控除しないで全額の給与の遡及支払を命ずることはできないものというべきである。
二、 不当解雇により労務の給付を免かれた労働者が、解雇から復職までの間他に就職して得た収入は、それが通常得られる程度のものであれば、労務給付の債務を免がれたことと相当因果関係にあり、従つて民法第五三六条第二項にいわゆる「債務を免れたるに因りて得たる利益」にあたるものと解するのが相当である。

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