裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和33(う)1224
- 事件名
脅迫公務執行妨害傷害政令第三二五号違反被告事件
- 裁判年月日
昭和34年4月30日
- 裁判所名・部
東京高等裁判所 第一一刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第12巻5号486頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 刑訴第二〇一条第二項の準用する同法第七三条第三項にいわゆる「急速を要するとき」にあたる一事例
二、 右法条による逮捕手続として被疑者に対し、単に罪名および逮捕状が発せられている旨を告げたのみで被疑事実の要旨を告げずになされた逮捕と公務執行妨害罪の成否
- 裁判要旨
一、 逮捕状の執行にあたり、被逮捕者が自宅に現在する場合においても、被逮捕者が前からしばしば他村等に出かけ、自宅に定住していない者であつて、何時何処に出かけて行くか計りがたいのみならず、逮捕状の所持者に連絡して急速に逮捕状を入手することの困難な場合には、刑訴第二〇一条第二項の準用する同法第七三条第三項にいわゆる「急速を要するとき」に該当する。
二、 右法条によリ、逮捕状を執行するにあたり、被疑事実の要旨を告知する余裕が存するにも拘らず、罪名および逮捕状の発せられている旨を告げたのみで、被疑事実の要旨を告げずになされた逮捕手続は、罪名を告げただけで直ちに被疑事実の要旨を察知することができ、被逮捕者においても敢えて逮捕状の呈示を求めないような場合でないかぎり、不適法であつて、かかる逮捕行為は刑法第九五条の公務員の職務の執行に該当しない。
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