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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和28(う)3074

事件名

 外国通貨偽造被告事件

裁判年月日

 昭和29年3月25日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第七刑事部

結果

 棄却

高裁判例集登載巻・号・頁

 第7巻3号323頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 ドル表示アメリカ合衆国軍票は刑法第一四九条第一項の「内国ニ流通スル外国ノ紙幣」にあたるか
二、 同条同項の「偽造」の意味
三、 偽造軍票を他に売却するつもりであつた場合は同条同項の「行使の目的」ありといえるか

裁判要旨

 一、 ドル表示アメリカ合衆国軍票は、日本国民間においては流通を禁止されているけれども、日本国内にあるアメリカ合衆国軍隊その他の者の間においては貨幣としての強制通用力をもち現に流通しているから、刑法第一四九条第一項の「内国ニ流通スル外国ノ紙幣」にあたる。
二、 製出した外国の通貨が一般人をして真正のものと誤信させる程度に相似性をもつている以上、たとえ、その専門家が見れば、その真正でないことを容易に発見しうるとしても、その行為は、刑法第一四九条第一項の偽造というに妨げない。
三、 前記軍票を他に売却するつもりで偽造した場合は、偽造軍票を真正なものとして円と両替することを意味するものと解されるから、偽造者みずからこれを流通におくと他人を介して流通におくとを問わず、同条同項の「行使ノ目的」あるものといわなければならない。

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