裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和62(う)1202
- 事件名
常習累犯窃盗被告事件
- 裁判年月日
昭和63年2月17日
- 裁判所名・部
大阪高等裁判所 第二刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第41巻1号62頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 被疑者を任意同行した上所持品の入手経路等につき徹夜で取り調べたことが任意捜査として許される限度を逸脱し違法であるとされた事例
二 任意捜査の限度を逸脱する違法な徹夜の取調べののちに得られた自白の任意性
- 裁判要旨
一 前夜午後九時三〇分ころ公園内で職務質問を行つたのち、被疑者を最寄りの派出所へ任意同行して所持品検査を行う一方、所持していた時価約三〇〇〇円相当のウイスキー一本の出所等を追及し、途中二か所の寺院への引当りをはさみ、翌朝午前四時ころに至るまで、右派出所及び警察署において、仮睡や休けいの時間を与えずに、ほぼ間断なく右ウイスキーの入手経路等につき被疑者を取り調べることは、被疑者が、常習累犯窃盗罪を構成する疑いのある右ウイスキー一本の窃取を一時自白していて、右窃盗の嫌疑が濃厚になつており、また、住居不定の被疑者が積極的に取調べを拒否して立ち去る態度を示していなかつたとしても(判文参照)、任意捜査として許される限度を逸脱し違法である。
二 任意捜査の限度を逸脱する違法な徹夜の取調べののちに得られた捜査官に対する自白は、これがかかる違法な取調べの影響が遮断された状況で得られたこと等特段の事情の存しない限り、その任意性を肯定することができない。
- 全文