裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和62(う)359
- 事件名
重過失致死傷被告事件
- 裁判年月日
昭和63年2月4日
- 裁判所名・部
大阪高等裁判所 第五刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第41巻1号23頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 船舶改装のための溶断・溶接工事と塗装工事が同時並行して行われたため発生した引火爆発事故に関し、両工事を各別の業者に注文した注文者に対し要求される事故防止のための注意義務の内容
二 右引火爆発事故に関し注文者の注意義務違反と現場作業員らの注意義務違反が競合した場合において、注文者の義務違反と事故発生との間に因果関係が存しないとされた事例
- 裁判要旨
一 船舶改装のための溶断・溶接工事と塗装工事を各別の業者に注文した注文者は、両工事が同時並行して行われた際発生する虞れのある事故を防止するため、工事が並行して行われることを予想していない業者に両工事が同時並行して行われることを連絡周知させる義務を負うものの、それ以上に業者が工事の競合することを知りつつ並行して工事を行うのを中止させねばならない義務までも負うものではない。
二 船舶改装のための溶断・溶接工事と塗装工事が同時並行して行われたため発生した引火爆発事故に関し、両工事を各別の業者に注文した注文者に両工事が同時並行して行われることを業者に連絡しなかつた過失があるものの、現場作業員らにも工事を並行して行うことを中止するなどの義務を怠つた過失がある本件においては(判文参照)、右注文者の過失と爆発事故発生との因果関係は否定される。