裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和52(う)1050
- 事件名
現住建造物等放火被告事件
- 裁判年月日
昭和55年3月25日
- 裁判所名・部
大阪高等裁判所 第五刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第33巻1号80頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 いわゆる別件による逮捕及びこれに引き続く本件による逮捕、勾留中の取調に違法があるため、その間に捜査官が作成した被告人の供述調書の証拠能力が否定される場合であつても、勾留質問調書及び消防司令補作成の被告人に対する質問調書の証拠能力を肯定すべきであるとした事例
二 放火又は失火の犯罪で警察官が逮捕した被疑者に対し、事件が検察官に送致された後において、消防法三二条一項による質問権を行使することの可否
- 裁判要旨
一 いわゆる別件による逮捕及びこれに引き続く本件による逮捕、勾留が違法であり、右違法な身柄拘束状態を意図的に利用して自白を獲得したなど、その証拠収集手続に重大な違法があるため、捜査官作成の被告人の供述調書の証拠能力が否定される場合であつても、裁判官又は消防司令補が捜査官と通謀して違法捜査に加担したなど特段の事情の認められない本件事案においては、勾留質問調書及び消防司令補が右勾留中に作成した被告人に対する質問調書の証拠能力はこれを肯定すべきである。
二 放火又は失火の犯罪で警察官が逮捕した被疑者に対しては、消防法三五条の二第一項の規定にかかわらず、事件が検察官に送致された後においても、同法三二条一項による質問権を行使することができる。
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