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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和45(う)1375

事件名

 道路交通法違反、業務上過失致死傷被告事件

裁判年月日

 昭和46年9月3日

裁判所名・部

 大阪高等裁判所  第三刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第24巻3号516頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 制限最高速度をこえて交差点に進入しようとする自動車に対し道路交通法三五条三項による左方車としての優先権を認めた事例
二、 左方車としての優先権を認めながら信頼の原則の適用を否定した事例

裁判要旨

 一、 相互見とおしの良好な交差道路において、左方道路から進行してきた自動車(以下左方車という)が公安委員会の定めた最高速度をこえて進行をつづけたため、右方道路から最高速度を遵守して進行してきた自動車(以下右方車という)と同時に交差点に入ろうとすることとなつた場合であつても、左方車の違反速度が、道路幅、人車の通行状況からみて、自動車運転者としての常識をこえるほど無謀なものでなく、かつ、右方車の運転者としても左方車の速度を容易に判定しえた事情にあるときは、左方車は、道路交通法三五条三項により、右方車に優先して交差点を通行することができるものと解すべきである。
二、 左方車として優先権を有する車両であつても、相手車を発見した時点において、両車が従前の進路と速度を維持する限り、交差点において衝突することは必定であり、かつ、このことは容易に認識予見することができ、また、相手車が左方車の進路を妨害しない措置をとるであろうことを信頼しがたい状況があり、左方車において減速徐行して衝突事故を回避する措置を容易にとりえたと認められる場合には、安易に相手車の減徐行のみを信頼して進行することは許されないと解すべきである。

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