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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和45(う)1208

事件名

 業務上過失傷害被告事件

裁判年月日

 昭和46年5月28日

裁判所名・部

 大阪高等裁判所  第三刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第24巻2号374頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 業務上過失傷害被告事件において傷害の結果との関係で訴因変更手続を要するとされた事例 二、 右被告事件において過失の内容との関係で訴因変更手続を要するとされた事例
三、 道路が左にカーブする頂点附近で対向の大型貨物自動車と離合しようとする小型自動車の運転者の注意義務

裁判要旨

 一、 業務上過失傷害被告事件において、傷害の結果に関し、「全治一年二か月を要する頭部打撲挫傷ならびに挫創、頸椎打撲捻挫の傷害を負わせた」との訴因に対し、「全治一年二か月を要する頭部打撲傷ならびに脳損傷等の傷害を負わせた」との事実を認定するには、訴因変更手続を経ることを要する。
二、 自動車の接触事故を内容とする業務上過失傷害被告事件において(1)徐行しなかつた点、および(2)対向車との間に安全な間隔を保たなかつた点に過失があるとした訴因に対し、右(1)および(2)のほかに、(3)急制動、急転把をした点にも過失があるとし、かつ、(3)の点をもつて実際上当該事故における最も重大な過失であると認定するには、訴因変更手続を経ることを要する。
三、 道路が左にカーブする部分にさしかかつた自動車運転者が進路前方約六七メートル附近に対向車を発見しこれとカーブの頂点附近において離合することが予見される場合に、右対向車が大型貨物自動車で車幅および道路幅の関係からセンターライン寄りを進行するほかないのに対し、自己運転の自動車が小型車で車幅および道路幅の関係から道路左寄りを進行するのになんら支障がないときは、右小型車の運転者は徐々に減速するとともに、できるだけ道路の左寄りを進行して対向車との間隔を充分にとり、これとの接触を避けるべき注意義務がある。

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