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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和41(う)1071

事件名

 業務上過失致死、業務上過失傷害、航空法違反被告事件

裁判年月日

 昭和43年11月13日

裁判所名・部

 大阪高等裁判所  第四刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第21巻5号466頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 有視界飛行方式による航空機の操縦士が針路前面の層雲中へ低空で進入することは帰投すべき空港の気象状態が悪化しつつあつた場合でも業務上の注意義務に違反するとした事例
二、 航空機操縦士の注意義務の標準

裁判要旨

 一、 有視界飛行方式による飛行のみ許された航空機の操縦士が、視程と最低安全高度とを定め、かつ、航空機の所定範囲内に雲がないことを要求る航空法、同施行規則及び会社の運航規程に違反して、針路前面の厚い層雲中へ低空で進入することは、たとえ、帰投すべき空港の気象状態が前線の通過により悪化しつつあつた場合でも、なお、一般的特別有視界気象状態の最低基準一マイル程度の視程があり、レーダーによる進入誘導を受けて着陸することが可能である以上、業務上の注意義務に違反するといわなければならない。
二、 航空機操縦士の業務上の過失犯における注意義務の内容は、航空機操縦士としての客観的標準によるべきものであつて、気象状態不良の場合において、当該操縦士がその資格要件に属する地上誘導進入方式(G・C・A)による着陸につき訓練不足であつても、これを理由としてその責任を免れることはできない。

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