裁判例検索

裁判例結果詳細

高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和40(ネ)807

事件名

 株主総会決議不存在確認請求事件

裁判年月日

 昭和42年9月26日

裁判所名・部

 大阪高等裁判所  第二民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第20巻4号411頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 株主総会決議の不存在確認請求と無効確認請求との関係
二、 退職役員に対する慰労金の支給につき株主総会決議の要否
三、 株主総会決議取消訴訟で出訴期間経過後における取消事由追加主張の許否
四、 株主総会の決議方法に法令違反と著しい不公正のあるとされた事例

裁判要旨

 一、 原告が、一次的に株主総会決議不存在の確認を求め、二次的にその無効確認を求めていても、二個の請求が存在するものではなく、決議の不存在と決議内容の法令又は定款違反とを無効事由とする一個の請求が存在するに過ぎないものと解すべきである。
二、 退職取締役、監査役に対する慰労金というものは、一般に在職時の職務執行の対価たるの性質を有するものであり、仮にこれが他の性質を含んだものである場合にも、商法二六九条二八〇条を設けた趣旨から考えると、右規定にいわゆる取締役または監査役に対する報酬に該当するものと解すべきである。
三、 株主総会決議取消訴訟における取消事由の追加変更は、その出訴期間内に限られるものではなく、民訴法一三九条等の制約の下に口頭弁論の終結に至るまで行うことができるものと解すべきである。
四、 イ、株主総会に出席の手段として株式名義の書換を受けたが、株式を取得せず株主となつていない九〇名の社員が、株主総会に出席して議決権を行使した場合は、決議方法に法令違反があるものというべきである。
ロ、 騒然とした会場で正常なる議事運営が期待できない状態であつたのに拘らず、判示の如く議長が、株主の議長不信任の発言に対して動議としての成否を確かめることもなく、これを無視して強引に議事を進め、議題についての説明もなく、株主に質疑討論の機会を与えることもなく、賛否を拍手に求めて過半数の株主よりの送付委任状による受任者たる総務部長の賛成拍手を見て議決が成立したものとしたときは、決議の方法が著しく不公正であるというべきである。
会社に送付された、議案に賛成と反対の双方の、委任状による委任者が、株主総会において反対趣旨の委任状による関係を除外することなく、単純に賛成の意思表示して議決権を行使したときは、決議の方法が著しく不公正であるというべきである。

全文