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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和39(ラ)209

事件名

 仮処分却下決定に対する抗告事件

裁判年月日

 昭和40年2月6日

裁判所名・部

 大阪高等裁判所  第九民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第18巻2号99頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 仮処分事件の抗告審において債権者が予定の本案訴訟を変更し従来の被告に他の者を加えたものを以て本案訴訟とする旨申出でた場合に新たな仮処分申請があつたものと解した事例
二、 株主または取締役が他の取締役と称する者を被告としてその取締役資格の不存在確認請求の訴えを提起しこれを本案訴訟として商法二七〇条所定の仮処分と同一効力の仮処分を求めることができるか
三、 右仮処分事件における仮処分の必要性の判定基準

裁判要旨

 一、 仮処分事件の債権者が申請却下の決定に対し抗告し、抗告審において従来取締役と称するもののみを被告としてその取締役資格の不存在確認を求める訴えを本案訴訟に予定していたのを変更し、会社をも被告に加えたものを以て本案訴訟とする旨申出で、かつ本案訴訟の右変更によつては仮処分債務者の適格に影響を来すことはない旨主張したときは、仮処分申請の追加的変更があつたものと解し、会社を被告とする本案訴訟を前提とする新たな仮処分申請についても審理すべきである。
二、 株主総会の取締役選任決議の効力を争うのではなく、被選任者が会社の就任申入れを拒絶したこと、あるいは一旦就任した被選任者が取締役の地位を辞任したことを理由にそれら取締役の資格不存在確認を求める訴えを本案訴訟として、商法二七〇条所定の仮処分と同様の対世的な職務執行停止の仮処分をすることは、保全の目的を超えるものとして許されない。
三、 右の本案訴訟は民訴法一般の確認訴訟であつて、商法二七〇条所定の会社法上の訴えではないから、これを本案とする仮処分の必要性は、会社全般の利益ではなく、債権者の個人的利益を基準にして判定すべきである。

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