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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和36(ネ)1511

事件名

 否認権行使事件

裁判年月日

 昭和38年4月11日

裁判所名・部

 大阪高等裁判所  第九民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第16巻4号218頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 手形割引と約定による消費貸借債務の成否
二、 割引手形買戻代金請求権の法律上の性質
三、 手形買戻請求権を自働債働とする相殺について破産法第一〇四条第三号但書を適用した一事例

裁判要旨

 一、 銀行の与信業務として行なつた金融が手形貸付でなく、手形割引によるものである場合に、割引依頼人が手形取引約定書をもつて、手形上の義務を負担するのはもちろん、金銭消費貸借上の債務をもあわせ負担する旨を約したとしても、銀行は、これにより、金銭貸借上の債権を取得するものではない。
二、 割引手形の買戻代金請求権は、当該手形の割引にあたり特約もしくは慣習によつて成立するところの、当該手形が満期に不渡りになることを条件とする、もしくは満期前に割引依頼人に一定の信用悪化の事由が生じかつ銀行が買戻しの意思を表示することを条件となる、割引依頼人に対する割引手形の停止条件付売買契約に基づく、手形法外の停止条件付金銭債権である。
三、 被控訴銀行が相殺の用に供した手形買戻代金請求権は、破産会社が支払いの停止をしたのちに、これを知りつつ被控訴銀行において買戻請求の意思を表示したときにその取得した破産債権であるが、右買戻代金請求権の基礎は、破産会社の支払停止後にはじめて生じたものではなく、それ以前の本件手形を割り引いたときにあるのであるから、破産法第一〇四条第三号但書により、その本文の相殺権の制限を免れるものというべきである。

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