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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和29(う)797

事件名

 酒税法違反公務執行妨害傷害暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件

裁判年月日

 昭和32年7月22日

裁判所名・部

 大阪高等裁判所  第四刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第10巻6号521頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 公務執行妨害罪における執行行為の適法性の要件
二、 公務員に認定権または裁量処分権を認められているばあいの執行行為の適法性の認定標準
三、 被疑者を逮捕するばあいにおける方式違反と公務執行妨害罪の成否

裁判要旨

 一、 刑法第九五条第一項にいわゆる「公務員ノ職務ノ執行」は、逮捕のような強制力を行使するばあいには、公務員の行為が、その一般的または抽象的権限に属すること、およびその行為を為し得る法定の具体的条件を具備し、かつ法律上重要な手続の形式を覆践していることを要し、以上の条件を欠ぐときは公務執行妨害罪が成立しない。
二、 公務員に認定権または裁量処分権を認められているばあいに、事後の判断において、公務員の認定に錯誤があつたと認められるばあいにおいても、職務執行の当時における状況を基準とし、公務員として用うべき注意義務のもとに合理的に判断したものと認め得られるときは、同条の保護する職務の執行というを妨げない。
三、 逮捕状によつて被疑者を逮捕するにあたり、逮捕状を被疑者に示さず、また、逮捕状を所持しないためにこれを示すことができないばあいで急速を要するという理由により逮捕する際に、被疑者に対し、逮捕状が出ている旨を告げただけで被疑事実の要旨を告げなかつたときには、その逮捕行為は違法であつて、その執行者に対し暴行脅迫を加えても、公務執行妨害罪は成立しない。

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