裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和57(う)293
- 事件名
業務上失火被告事件
- 裁判年月日
昭和61年9月30日
- 裁判所名・部
名古屋高等裁判所 刑事第一部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第39巻4号371頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
業務上失火の共同正犯が成立するとされた事例
- 裁判要旨
溶接工である被告人両名が、建物増築現場で電気溶接機を用いて鋼材の溶接作業を行うに当たり、共に、右溶接に際して発生する輻射熱又は火花(スパツタ)が溶接箇所周辺にある可燃物に達しないようにあらかじめ遮へい措置を講ずべき業務上の注意義務があるのに、これを怠り作業をしたため火を失して建物を焼燬した場合において、右作業が同一機会に同一場所で特定の鋼材を溶接するという一つの目的に向けられたものであり、被告人両名が、右作業をほぼ対等の立場で交互に交替して行い、かつ、あらかじめ遮へい措置を講じないで作業をしても大丈夫であるということについて相互に意思の連絡があるなど、判示の事情があるときは、右業務上失火につき、被告人両名による過失の共同正犯が成立する。