裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和54(う)150
- 事件名
人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律違反被告事件
- 裁判年月日
昭和59年1月24日
- 裁判所名・部
名古屋高等裁判所 刑事第二部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第37巻1号1頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律三条にいう「排出」の意義
二 化学製品製造工場で見習技術員のバルブ誤操作により生じた塩素ガス排出事故につき右技術員に対する監督的立場にある同工場製造課長にも人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律三条二項違反の罪が成立するとされた事例
- 裁判要旨
一 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律三条における「排出」は、人の健康を害する物質が、通常予定された排出口から排出された場合に限定されるものではなく、また、短時間内に大量に排出された場合も含まれる。
二 化学製品製造工場で液体塩素を貯蔵タンクに受け入れる作業中に、見習技術員のバルブ誤操作に起因して塩素ガスを排出し、公衆の身体に危険を生じさせて傷害を負わせた場合において、人手不足のため熟練技術員の見習技術員に対する指導及び同人らを直接監督すべき地位にある係員の右作業に対する監督が行き届かない虞があつた等判示のような状況があるときは、危険な同作業を担当する部署に見習技術員を配置し、かつ右係員を通じて同作業を監督すべき同工場製造課長についても人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律三条二項違反の罪が成立する。
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