裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和38(う)528
- 事件名
関税法違反被告事件
- 裁判年月日
昭和39年9月29日
- 裁判所名・部
名古屋高等裁判所 第四部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第17巻6号572頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 検査場所とレて申告された保税上屋に輸出貨物が在庫しなかつた場合有貨物に対して行われた輸出許可の効力
二、 管轄区域外で行われた犯則事件についてなされた税関長の告発の効力
三、 輸出許可を受けたがまだ船積までに至つていない外国貨物と関税定率法第一四条第一〇号との関係
四、 関税定率法施行令第一六条但書の法意
五、 関税定率法第一四条第一〇号所定の貨物を税関の輸入許可及び関税の免除処分を受けることなく本邦内に引取つた場合と関税逋脱罪の成否
- 裁判要旨
一、 輸出貨物が書類検査により輸出許可を受けた場合、たとい右貨物が検査場所として申告された保税上屋に、輸出申告時及び輸出許可時に、在庫しなくても、輸出許可時までに右保税上屋に入庫したか、輸出許可後数日内に右保税上屋に入庫したか、もしくは右期間右保税上屋に隣接する保税上屋に在庫していた場合には、右通関事務の手続違反は輸出許可についての重大な瑕疵と言うに当らず、右輸出許可は有効であり、従つて右貨物乏保税上屋から許可なく国内に引取る行為は密輸入に該当する。
二、 税関職員は、大蔵省設置法第二四条の規定にかかわらず、管轄区域外で行われた犯則事件の調査のために職務を執行することができるから、税関長は管轄区域外の右犯則事件についても関税法第一三八条により告発することができると解すべきである。
三、 関税定率法第一四条第一〇号の「本邦から輸出された貨物」の内には輸出許可を受けたが、まだ船積までに至つていない外国貨物も含まれると解するのが相当である。
四、 関税定率法施行令第一六条但書の場合でも関税定率法第一四条第一〇号所定の貨物であることについての税関の認定及びこれに基づく免税処分が必要である。
五、 関税法第一一〇条第一項第一号の関税逋脱罪は侵害犯と解すべきであるから、関税定率法第一四条第一〇号所定の貨物を税関の輸入許可及び関税免除処分を受けることなく本邦内に引取つても、右行為は関税逋脱罪の保護法益を現実に侵害するものでないから、同罪の構成要件に該当ず、従つて同罪は成立しない。
- 全文