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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和27(う)343

事件名

 詐欺業務上横領被告事件

裁判年月日

 昭和28年2月19日

裁判所名・部

 名古屋高等裁判所  金沢支部  刑事部

結果

 破棄自判

高裁判例集登載巻・号・頁

 第6巻5号553頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 県吏員が県債務の成立原因の一部を詐つた公文書により会計係員をして債権者に弁済金を交付せしめた場合と詐欺罪の成否
二、 架空の県債務の弁済を命ずる県出納長の支払命令と県金庫の職責

裁判要旨

 一、 県吏員が、合法的に成立した県債務たる労務費の支払手続において、予算支出の形式的考慮から債務発生原因たる労務給付の場所につき事実と異る場訴を記載した公文書を作成行使し、これに基き情を知らない会計吏員をして債権者に対する債権金額の弁済を為さしめたとしても、詐欺罪は成立しない。
二、 県金庫は、その職務として県出納長の支払命令を受けて現金払渡の事務を遂行するにあたり、民法上の受任者たる地位に基く善良な管理者の注意義務を負担することは当然であるから、出納長の発した支払命令が県公金の不法支出を目的とする県職員の違法行為に基くものであるときは、これに対し支払拒絶権をもつて対抗しうる。

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