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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和60(う)448

事件名

 公職選挙法違反被告事件

裁判年月日

 昭和61年10月30日

裁判所名・部

 福岡高等裁判所  第一刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第39巻4号482頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一 甲乙共同による受交付罪が成立し甲の乙に対する交付罪の成立が否定された事例
二 受交付罪交付罪の併合罪として起訴された事案につき右両訴因を主位的訴因として共同受交付の予備的訴因の追加をするのが相当とされた事例

裁判要旨

 一 被告人甲が単独で東西両地区分の買収資金として二〇万円の交付を受け、そのうちの一〇万円を西地区分として乙に交付したとして受交付罪及び交付罪の各訴因により起訴されたが、甲が交付を受けた際乙が同席していて、甲が代表して受領したものに過ぎないと認められる場合(判文参照)には、甲乙両名共同による受交付罪が成立し、その後遅くとも翌日までに甲から乙に西地区分として一〇万円を渡した行為については、共同受交付者間の受交付金の分配行為に過ぎず、交付罪を構成しない。
二 被告人甲が単独で買収資金として二〇万円の交付を受け、そのうちの一〇万円を乙に交付したとして受交付罪及び交付罪の各訴因により起訴された事案において、被告人甲が乙と共同して右二〇万円の交付を受けた旨の受交付罪の予備的訴因を追加するにあたり、右予備的訴因の事実が認められるならば乙への一〇万円の交付の点は罪とならないと解される場合には、併合罪の関係に立つ右の受交付罪の訴因及び交付罪の訴因の両者の訴因を合わせたものを主位的訴因として、右予備的訴因の追加をするのが相当である。

全文