裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和44(う)543
- 事件名
鉱山保安法違反、業務上過失致死傷被告事件
- 裁判年月日
昭和45年2月13日
- 裁判所名・部
福岡高等裁判所 第一刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第23巻1号112頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 鉱山保安法五八条の法意
二、 鉱業権者に過失のないことと刑訴法三三五条二項にいう「法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実」
三、 従業者らによる鉱山保安法六条二項の違反行為と同法五八条の適用を示すことの要否
- 裁判要旨
一、 鉱山保安法五八条のいわゆる両罰規定は、鉱業権者の代理人、使用人その他の従業者らの違反行為に対し、鉱業権者に右行為者らの選任、監督その他保安上の違反行為を防止するために必要な注意を尽さなかつた過失を推定した規定と解すべきである。
二、 鉱業権者において前項に関する注意を尽し、過失はない旨の主張は、刑訴法三三五条二項にいう「法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実」の主張にあたるものというべきである。
三、 従業者らによる鉱山保安法六条二項の違反行為に対する適用法条として、同法五六条一号、六条二項のほかに、同法五八条をも掲げるを相当とするが、右五六条一号、六条二項を掲げる限り、五八条の適用を前提としていることが明らかであるから、これを掲げなくても判決に影響を及ぼすものとは解されない。
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