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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和33(う)1390

事件名

 公務執行妨害被告事件

裁判年月日

 昭和35年3月2日

裁判所名・部

 福岡高等裁判所  第四刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第13巻2号149頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 鉄道公安職員は鉄道営業法第四二条第一項の「鉄道係員」にあたるか
二、 不法な目的で鉄道地内に立入つたりなどした鉄道職員と鉄道営業法第四二条第一項の「旅客及公衆」
三、 鉄道営業法第四二条第一項にいわゆる「退去セシムルコトヲ得」の意義および憲法第三一条との関係

裁判要旨

 一、 鉄道公安職員が第一種警備につき、その警備区域内で、鉄道営業の円滑な遂行を侵害する者を排除する等の特命を受けて現場に臨んでいるときは、これを鉄道営業法第四二条第一項の「鉄道係員」にあたると解するのが相当である。
二、 鉄道職員といえども、その職務とは全く関係なく、しかも不法な目的で、鉄道地内等に立入り、その他鉄道営業法第四二条第一項違反の所為があつた場合は、これを同法条にいわゆる「旅客及公衆」にあたると解するのが相当である。
三、 鉄道営業法第四二条第一項にいわゆる「退去セシムルコトヲ得」とは、緊急を要する場合その他特別の事由ある場合で、しかも絶対に暴行にわたらないかぎり、実力その他の強制にわたるものであつても、その目的が僅か車外または鉄道地外に退去させるだけであるから、これをやむを得ないものとして容認する趣旨で、一般的に、実力をも行使して車外または鉄道地外に退去させることができる旨規定したものと解するのが相当であり、かく解することは憲法第三一条の趣旨にそむくものではない。

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