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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和28(ネ)623

事件名

 家屋退去並びに耕作禁止請求事件

裁判年月日

 昭和29年10月29日

裁判所名・部

 福岡高等裁判所  第二民事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第7巻9号706頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 農地の共有持分の放棄による他の共有者への帰属と知事の許可の要

二、 親族相互の扶合のため親族の家に同居してその土地を耕作する者と民法第一七七条の第三者
三、 親族相互の扶合のための同居耕作契約とその解除事由

裁判要旨

 一、 農地を共同相続した甲乙両者のうち、甲が自己の共有持分を放棄したときは、その持分は民法第二五五条により当然乙に帰属するのであつて、右帰属することについて農地調整法令所定の知事の許可を必要としない。
二、 自己の親族にあたる老夫婦所有の家屋に同居し、みずから耕作することの困難な同夫婦の所有地を耕作しその収益をもつて同夫婦の生活を支えると共に、他面これによつて同居者自身の生活の利益を図るという、いわゆる親族相互の扶合を目ざす同居耕作契約における同居者は、同居家屋および耕作地の所有権の得喪変更について重大な利害関係を有し、民法第一七七条の第三者に該当するものというべきである。
三、 前項のごとき同居耕作契約は同居の継続を期待し難い重大な事由があるときは、当事者の一方はたとえ相手方(同居者)に過責の存しない場合でも、それが信義の原則に反せず、かつ、権利の濫用にわたらない限りこれを解除しうるものと解するのを相当とする。

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