裁判例検索

裁判例結果詳細

高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和44(う)77

事件名

 商法違反、公正証書原本不実記載、同行使、詐欺被告事件

裁判年月日

 昭和45年5月12日

裁判所名・部

 仙台高等裁判所  第二刑事部

結果

高裁判例集登載巻・号・頁

 第23巻3号411頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 商法第四九一条前段の預合罪にあたる事例
二、 右預合罪が成立する場合不存在の会社の設立登記と公正証書原本不実記載同行使罪の成否および両者の罪数関係

裁判要旨

 一、 商法第四九一条前段にいう預合とは会社発起人らが株金払込み取扱金融機関の役職員と通謀してなす一切の株金払込み仮装行為をいうものと解するのが相当で、発起人らが右役職員と通謀し、株金の払込みがないのに仮装の株式払込み金保管証明書を発行させてその交付をうけたものである以上、発起人らが右金融機関から金借して形式的に株金の払込みにあて実質的にはその払戻しに制限が付されることにより株金の払込みがなかつたと同様の結果を生ぜしめる等のいわゆる外形上払込みを行つたと認められる行為がこれに伴わなくとも、右発起人らの所為は預合罪にあたる。
二、 右預合罪の成立する場合、不存在会社の設立登記を申請し登記官吏をして商業登記簿の原本にその旨記載させて備付けさせたときは、後者の所為は前者の罪の構成要件によつて包括的に評価し尽される関係になく新たな法益を侵害するものであるから別に公正証書原本不実記載同行使罪を構成し、両者の罪の関係は併合罪である。

全文