裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和33(う)463
- 事件名
強盗傷人被告事件
- 裁判年月日
昭和34年2月26日
- 裁判所名・部
仙台高等裁判所 刑事部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第12巻2号77頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 強盗の犯意発生前の単純傷害とこれに引き続く強盗傷人との罪数
二、 傷害が強盗の犯意発生の前後いずれの暴行によつて生じたか不明の場合と強盗傷人罪の成否
- 裁判要旨
一、 甲が丙丁らと乙に対し暴行を加えることを共謀の上、甲は乙の左腕を、丙は乙の右腕を掴んで押さえつけながら、交々手拳で乙の顔面を殴打する等暴行を加えているうち、甲は乙の腕時計に目をとめて咄嗟にこれを強奪しようと決意し、更に続けて乙の左腕を強く押えつけ身動きできぬようにし、その反抗を抑圧の上、腕時計を強取し、その直後丁が下駄で乙の頭部を強打して乙をその場に転倒させ、転倒した乙の背部を甲が靴で蹴りつけ、右一連の暴行によリ乙に対し顔面、頭部の挫傷および背部打撲傷を負わしたが、右背部打撲傷は強盗の犯意発生後の甲の暴行により生じたものである場合は、甲の関係において強盗の犯意発生前の共謀による単純傷害(ただし丁の暴行による単純傷害を含む)と強盗傷人とは併合罪でなく、右単純傷害と強盗傷人との混合した包括一罪であつて重い強盗傷人罪の刑をもつて処断すべきものである。
二、 仮に右の場合傷害が甲の強盗の犯意発生の前後いずれの暴行によつて生じたか不明のときは、甲の関係において共謀による単純傷害と強盗との混合した包括一罪であつて重い強盗罪をもつて処断すべきものであり、強盗傷人罪の責を負わすことはできない。
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