裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和45(う)56
- 事件名
詐欺被告事件
- 裁判年月日
昭和46年1月14日
- 裁判所名・部
札幌高等裁判所 第三部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第24巻1号1頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 刑事訴訟法四〇〇条但書の事実取調の限度
二、 一審の無罪判決を破棄して有罪の言渡をするに足りる事実取調が不可能となつたこと等を理由として検察官の控訴を棄却した事例
- 裁判要旨
一、 被告人の飲酒の際の具体的言動等外形的行為自体が争点となる本件のような詐欺(無銭飲食)の事案において犯罪事実を確定せずに無罪を言渡した一審判決を破棄して有罪の自判をするためには、原判決の認定が明白な経験則に違反し著しく不合理な場合を除き、原判決がその供述の信用性を疑問とした目撃証人のうち、少くともいずれか一名を直接取調べ、その供述の信用性を吟味する必要がある。
二、 一審判決後、争点に関する主要な証人がすべて所在不明となつて、その再度の取調べが被告人の責に帰すべからざる事由により事実上不可能となり、しかも、原判決の認定に著しい不合理が認められない等判示の事情があるときは、かりに、右認定に多少の疑問があつたとしても、原判決を破棄することはできず、検察官の控訴を棄却するほかないというべきである。
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