裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和41(う)278
- 事件名
愛媛県屋外広告物条例違反軽犯罪法違反被告事件
- 裁判年月日
昭和43年4月30日
- 裁判所名・部
高松高等裁判所 第三部
- 結果
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第21巻2号207頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 ビラ貼り行為が愛媛県屋外広告物条例に違反する広告物表示行為に当らないとした事例
二、 軽犯罪法第一条第三三号にいうみだりに他人の工作物にはり札をしたと認められない事例
- 裁判要旨
一、 愛媛県屋外広告物条例により広告物等を設置或いは表示することが禁止されている電柱に立看板一枚を、同様墓地石垣、自動車運転試験場建設用地コンクリート製外壁に広告物(ビラ)約二二枚をそれぞれ表示した行為であつても、それらの形状、表示の場所、環境、表示対象物件の性格等からみて周囲の美観風致が害された程度は微微たるものであり、右広告物(ビラ)の表示によつて公衆に対する危害を及ぼす可能性がなく、立看板についてはその可能性がないとはいえないとしても、既に取り付けてあつたのを利用して文書を貼付したにすぎず、右各表示の目的は、被告人の所属する一小部落と大企業との間の公害問題についての交渉過程においてその一助としてなしたもので正当と認められ、その表示方法からみてその除去が容易と認められるなど判旨の各具体的事情がある場合には、前記条例三条に違反する広告物等を表示した場合に該当しない。
二、 前記の電柱、石垣、コンクリート製外壁に各管理権者の承諾を得ないで前記の各文書を貼付した行為であつても、前記の諸事情があるなど判旨の各具体的事情がある場合には、軽犯罪法一条三三号にいう「みだりに」他人の工作物にはり札をした場合にあたらない。
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